ふと思う事がある。

 かつて日本は戦後、高度経済成長期、バブル期と猛烈な勢いで経済成長を遂げた。まあバブル期は、土地取引の「土地は絶対に値崩れしない」という土地神話が起こしたものだったので、投資にかかわらない一般家庭については関わり深かったとはいえないと思うが、高度経済成長期の日本は真に「国も、国民も、企業も」成長を遂げたのである。

 当時の社会風刺として、大量生産・大量消費というものがあった。これは日本だけに関わらず、国際的な動向であったし、それを背景として各種の公害が発生した事実はある。「高度経済成長期当時の『大量生産・大量消費』」は、皆さんがご存じの通り、
商品を大量に生産し、それを消費者が大量に消費すること
で、当時の経済活動は主として行われていた。
ということである。


 現在ではリサイクルの徹底や、リデュースの考え方が一般層まで浸透し、また技術革新もあって、従来からあった商品であっても、より効率的に、より環境にやさしく製造でき、また、廃棄に至っても生分解されやすかったり、燃焼時に有毒性ガスを出さないような材質、若しくは有毒性のダイオキシン等を出さないような方法での処理が増え、多くの身近な環境問題は(まだまだこれからというのもあるのですが、グレタ氏のような過激な主張はともかくとして)小さくなってきているのではないか、と私は感じています。



 しかし、
 私は別の分野での大量生産大量消費が行われているのではなかろうか?
と昨今考えているのです。

 1991年3月にバブルが崩壊し、1996年労働派遣法の改正が行われ、多くの業種(26業種)への派遣労働が合法化された。
 そして更に、1999年に更なる派遣労働法改正(業種の大型緩和)を受けながら、2001年、竹中平蔵(派遣会社パソナ会長)を経済財政政策担当大臣として、時の内閣総理大臣小泉純一郎首相が起用、したのだった。竹中平蔵氏は小泉内閣のブレーンであったといわれるが、議員職ではなかったので、「民間からの大抜擢」などと当時のマスコミは書いたようだ。
 この後、2004年に労働派遣法が改正され、
①港湾運送
②建設
③警備
④医療
以外の職種に関する派遣労働を解禁したのである。

 
当時、竹中平蔵氏は、表舞台に立つ時には主として「KO大学教授(大学は仮の名)を自称していたのだが、”裏の顔”である――竹中平蔵という派遣会社のトップが、このような自分に有利な形での労働派遣法改正をやってしまったのだった。

 そう、私が今回主張する”大量生産大量消費”は、低賃金で、奴隷のように賃金の一部を派遣会社に吸い取られそれでも生きていかざるを得ない労働者は、やがて、心身に限界を迎えて「消費」され切ってしまうそのような現状を描いた言葉である。

 国民全体の賃金の中央値は年々減少している。
 そろそろ、竹中平蔵氏の負の遺産「派遣労働」からの脱却について、また最低賃金の上昇や、法人税の上昇、所得税の減税、消費税の低減について、われわれ国民も、政府も考えていかねばならないのではなかろうか?

 少子化で数が減っている人間を、「派遣社員」という首に縄が付き賃金の上前をはねられるようなシステムに大量にからめとられ(大量生産される「派遣社員」・「非正規社員」)と、彼らを、ヘタの将棋好きか迷司令官さながらに、大量消費していくこの我が国のスタイルは限界が生じていると考える。