今回は医療系の雑記です。

 近頃、街中や様々な施設で「AED」という医療機器が設置されるようになりました。私の記憶に於いては、この「AED」の有効性が認識され、各所に配備された切っ掛けになったのは、当時、サッカーチーム松本山雅で活躍されていた、元日本代表DF松田直樹選手の急性心筋梗塞による突然死であったように思います。

 AEDは皆さまご存じの通り、大雑把に言えば「緊急を要する心臓の病気」に対して、電極を体の二か所に貼り、電気ショックを与えることで、救急車の到着前から救命処置が行える画期的な医療機器です。しかし、「電気ショック」を与えることから、金属を含むものは使用時には体から離しておかねばならず、また、電極は右胸の上側と左胸の横下側に貼るのがおおよその位置ですから、次のことが言えるのです。
・電極を貼るために衣服を(たとえ女性患者であろうとも)脱がさなければならない事
・電気の流れが導体である金属を通過すれば、電気ショックが無効になったり、電気が無関係の場所を焼いてしまう可能性があるため、ブラジャーなどの下着も取り外す必要が存在する事。


 これに「拒否感」を感じる女性がいらっしゃる事も自然なことではあるのですが、これは羞恥心をとるか、自らの命をとるかという極めて重大なものなのです。命無くば羞恥は感じず…。命あっての物種という言葉があるように、いっときの羞恥心のため、その先に長く続くかもしれない命を棒に振ることは、医療人としてはお勧めできない事なのです。

 実は、心臓に異常があり、心臓がうまく血液を送り出せなくなると、脳や心臓の筋肉自体が「酸素不足」を起こします。そして、一定時間酸素不足の状態が続くと、脳や心臓の細胞は死んでしまうのです。その状態に至る時間は実は物凄く早いのです(残念ながら救急車がたどり着く前にそういった状況に陥ってしまう例も少なくないのです・・・)。一刻も早くAEDを使って電気ショック(医学的には除細動といいます)を行うのはそれを防ぐためであり、どうか世間の方の理解が深まることを、医療人の卵として、私も考えるのです。


 ではまた。