monjiro


 時は1972年1月1日。フジテレビは監督に市川崑を迎えた、後に名作と称されるドラマ時代劇『木枯し紋次郎』を放送開始した。本曲は、その主題歌を務めた楽曲である。作曲は六文銭のリーダー小室等歌唱上條恒彦が担当した。

 内容としても異色のテレビドラマ(当時無名俳優であった中村敦夫を起用〔当時の定番の時代劇は歌舞伎界のスター俳優を起用することが定跡〕であり、主人公は善であり、勧善懲悪が当たり前であった)であったのだが、この主題歌があまりにカッコよかったことから、のちに大阪朝日放送が『必殺シリーズ』を作る際に、音楽で負けないようにしたいと、音楽を作曲家平尾昌晃氏に依頼したという逸話がある。(ちなみに、監督は負けないようにと、深作欣二監督に依頼している。)


 この曲の凄さは、曲が始まってすぐに聴衆を惹きつける独特の音選びと、渋くも明るく音域のある上条氏の歌唱にあると思われる。

 全体としてはカントリー音楽のテイストを上手く取り入れながら、しかし全体としては日本の楽曲に仕上げているのはさすがと言うほかにないだろう。