侵入思考は恐ろしい。
 侵入思考とは、「考えたくもない事を意志では嫌なのに考え続けさせられるような状態」のことで、強迫性障害等の症状として知られている。

 「考えたくもない事を考えちゃうなんて誰にでもあるぜ」と思う方もいらっしゃるだろうが、そういう方の言う“侵入思考”とは99%一過性のものだろう。しかし、病的な侵入思考の場合、24時間365日、断続的にではあるがこの“病的な思考の迷路”に迷い込まされ続けるのである。

 個人的な話だが、私はこの侵入思考の強い強迫性障害(OCD)で3年ほど病院にも行けず、苦しんだ。当時は自分の侵入思考が異常なのかどうかすら分からず、当時20歳前半代だった私はそれまで20数年間のそれまでの人生を「あそこで迷惑をかけてはいなかっただろうか?」「実は大変なことを起こしてはいなかっただろうか」といった加害恐怖と侵入思考、どうにもならなくて友人に相談(今から考えればこれは「巻き込み」という症状である)に陥って苦しんだ経験がある。(ちなみにこの時巻き込んでしまった友人とは未だに親しく付き合いのある親友といえるほどの友人である。友人に恵まれていて本当に良かった)

 侵入思考は脳を常に100%近く「侵入思考の不安」のために使ってしまう。PCで言う所の「メモリとCPU使用率が『侵入思考』のために浪費されてしまう」のだ。当然、勉強など手がつかなくなるし、多少落ち着いている日に学校に行こうとしても、ちょっとしたイベント(例えば僕の場合は「危ない運転の自転車を見かけた」とか)で一気に不安トリガーを引いてしまって、不安の侵入思考がグルグル。とても辛かった。



 当時、僕としては「精神科や心療内科」の敷居は高かったので、最初は輪ゴムによる思考中断法を試した。これは不安を感じた時に腕などに巻いた輪ゴムをパチンと弾き、軽い痛みを与える事で、思考を中断させる方法なのだが、僕の場合、わりかし軽い時には効果が見られたものの、重たい状態となってからは焼け石に水で、上手く奏功しなかった。

 次に試したのが認知療法。ノートに不安の種からどう考えているのか、などを考えていく方法で現在も僕は非薬物的に心を平穏にする時に時々用いているが、僕の場合、これでも重たい不安の侵入思考は取り除けなかった。

 そして、いよいよ辛過ぎたので、友人が一度かかったことのある精神科系の病院を受診し、OCD(型は珍しいらしい)としてSSRIやBZ系抗不安薬の処方、主治医の先生からのアドバイス、保険薬局の薬剤師の先生のアドバイスなどを受けて、徐々に侵入思考系の不安はおさまっていった。(しかも僕の場合、この「不安」が未来に対するものではなく、過去に対するもので、一般の方にはほぼ理解されなかった

 ・・・でもまあしかし、強いストレスを受けてしまうとこの侵入思考が悪さをし始めることが、僕の場合は未だにあって、いろんな事に全く手が付けづらくなってしまうのだ。

 実は一昨日歯科に行った時に、「この虫歯を神経を取らずに治すにはこの自由診療がおススメです」と紹介された方法があまりにも高額で、他院を調べてみると同じ方法でももっと安く行なっているところも多いことが判明。あまりにも高額だったことを「どうしよう、どうしよう」と侵入思考的に24時間ほど考えてしまって、まったく他の事に頭が使えていなかったんですが、昨日の夕方頃になって抗不安薬のエチゾラムを服用してからふと「これ、セカンドオピニオン行ってみるべきだろう」と考えが固まり、一応なんとか不安を解消し、現在に至っています。


 不安障害や強迫性障害、侵入思考は世間一般の人にあまり浸透していないのか、なかなか理解されにくい病気ですが、僕の経験上、精神科や心療内科を受診し、適切に治療を行えば、少なくとも治療前よりは生きやすい環境になっていると思います。似たような境遇で苦しんでいる方がいらっしゃいましたら、出来るだけお早めの受診をお勧めします。



*参考
 ・自分が果たして病的(OCD)なのかセルフチェックしてみたい
 ・病院かかりたいけどどこにあるの?
みたいな疑問をまとめてくれているサイトがありますので紹介させていただきます。

 このHPは強迫性障害(OCD)の方を支援する団体「OCD研究会」さんが作ったもので、
  ・どんな病気なのか
  ・治療法は
  ・セルフチェック診断
  ・全国でどこの病院で診てもらえるのか
がまとまっているサイトです。

 よろしければご参照下さいませ。


**追記**
 上でocd−netを紹介してから、当該ホームページが残念ながら2020年6月で閉鎖するとの情報をキャッチしたので、別の参考になるホームページを挙げておきます。

 こちらはうつ病をはじめとした精神疾患の説明がわかりやすく書かれているホームページです。OCDについても載っておりますので、ご参考まで。

 また、「どこのどんな病院にかかったらいいんだろう?」という疑問には次のホームページをご利用されるのも一つの方法だと思います。


 お近くの病院や医院を探すのに役立ってくれるのではないでしょうか?






 ではでは。