将棋をやっているとたまに大金星をあげることがある。今は懐かしき高校時代、わが高校の将棋部内で私が”5級”として登録された将棋大会で、ライバル高校のエース(二段)にあたり、相手のノーマル四間飛車に対して、私が加藤流棒銀を用いて勝ったことがあった。

 「加藤流棒銀」はその名の通り、大棋士加藤一二三九段が開発した対振り飛車急戦の戦法で、当時、加藤九段が書かれた棋書を僕が読んでいたことで採用した経緯があった。・・・ちなみに、当時、同期の将棋部員は深浦康市九段の書かれた棋書に載っていた5七銀左急戦を得意としていた。

 当時はまだ僕が団体戦メンバーに入る前だったので、僕の将棋は「やるか、やられるか」という攻め合いの棋風だった。(団体戦メンバーになってからは、出来るだけ相手に決め手を与えない、「徹底的に受け、チャンスがあれば潰す」という戦い方になってしまった――高校の将棋の団体戦は、3人同時かつ並んで対局をするので、真っ先に負けるというのは仲間に対するダメージがデカいためである)

 正直なところ、僕の将棋部活動時(平成の中頃)で、加藤流棒銀はアマチュアで指す人が殆どいなかったことから、先の大金星につながったのだろうと僕は今でも考えている。
 加藤流棒銀は優秀な戦法ではある(ちなみに、のちに渡辺明先生が「渡辺明の振り飛車破り 急戦編」の中でもとりあげていたほど)だが、実は中終盤にキレがないと大逆転負けを食らう事のある恐ろしい戦法でもあった。
 当時の僕は穴熊が指せず、持久戦なら天守閣美濃、といった感じだったので、対振りで持久戦では戦えなかったのである。

 そこで本番「加藤流棒銀」を放ったのだけれど、これが見事に決まって、生まれて初めて二段に勝った将棋になったわけでした。



 将棋を指されている方も多かろうと思われますが、あなたが大金星をあげた戦法などありますでしょうか?あれば、コメント欄までお願いいたします。


 それでは、また。